2024年3月11日
1964(昭和39)年の東京オリンピックにあわせて、日本文化を世界に発信しようと複製・出版された浮世絵集から、今回は美人画で知られる喜多川歌麿を紹介します。
歌麿(1753~1806)は、開催中の特別展の長沢芦雪(1754~1799)と同時代を生きた江戸の浮世絵師で、その作品は海外でも葛飾北斎と並んで高く評価されています。顔を強調した上半身の大首絵で人気を呼びました。
大首絵の作品のひとつが中央の「当世踊子揃 吉原雀」です。「吉原雀」とは、江戸の遊郭だった吉原の風俗・生活を描写して踊る歌舞伎の舞踊で、この作品は扇子を持ち吉原雀の衣装を着た踊子の半身像です。薄いかぶり物や肩衣は、鳥追いの姿をあらわしています。
右は「当時全盛美人揃 兵庫屋内 花妻(ひょうごやうち はなづま)」。座った姿の吉原遊女の上半身を描いた10枚シリーズのひとつです。「花妻」とは、花にように美しい妻という意味で、両手で手紙を握りしめた兵庫屋という店の美女を描いています。題のわきには「さくらにほひ」と書かれています。
左は「青楼二和嘉女芸者部 大万度 荻江 おいよ 竹次」です。「二和嘉(にわか)」は、毎年8月に行われた吉原のパレードで、着飾った女性たちが街を練る歩き、大勢の見物客が集まったといわれます。「万度(まんど」」は長い柄のついた行灯で、頭を男の髷に結い着飾った荻江節(おぎえぶし)の芸者「おいよ」と「竹次」が、出発前の支度をしているところです。
美人画が評判になった歌麿でしたが、モデルの人気が高くなると、幕府は度々大首絵を規制するようになります。晩年は、豊臣秀吉の醍醐の花見を題材にした絵を問題視されて幕府に捕らえられ、「手鎖50日(手錠をかけられて自宅謹慎)」の処分も受けました。
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